- 「『こうえん』で変換するといろいろ出てくるけど違いが知りたい?」
- 「『公演』と『講演』、使い方を具体的に教えてほしい?」
という疑問をお持ちではありませんか?
この記事では辞書やWebライターとして活動している筆者の経験の観点から解説します。
具体的には
- 「公演」と「講演」の違いと使い分け方
- 「公演」の意味と用法
- 「講演」の意味と用法
の順番にご紹介していきます。
「公演」と「講演」の違いと使い分け方
「公演」と「講演」は、どちらも「こうえん」と読みますが、次のような違いがあります。
- 公演:観客の前で音楽や演劇を演じること
- 講演:聴衆の前で話をすること
辞書には以下のように記載されています。
(公演:こうえん)
多数の観客の前で、演芸・音楽などを演ずること。
(引用サイト:広辞苑無料検索 大辞林)
(講演:こうえん)
(1)聴衆の前で、ある題目のもとに話をすること。また、その話。
(2)経典を講じ、仏法を説くこと。
(引用サイト:広辞苑無料検索 大辞林)
このようにどちらも「人前で演じる」のですが、「演劇や音楽など」か、「題目の話をする」かで使い方が異なります。
文章では次のように使います。
- 名誉教授が栄養学について講演する
- オーケストラが東京ドームで公演する
この例文では、教授が「題目=栄養学」について話をするので「講演」を使いますが、逆にオーケストラが音楽を演奏する場合は、話ではないので「公演」になります。
また、次のように英語にするとイメージしやすい方もいるかもしれませんね。
- 公演:Performance(パフォーマンス)
- 講演:Lecture(レクチャー)
パフォーマンスは「芸術」、レクチャーは「教える」というニュアンスがあります。
そのため、次の状況では使われません。
- 数人の場合
- 音楽や演技の練習をしている場合
- 普段の会話
- 大勢の人の前で話す内容が「題目がない」「教える内容ではない」「演説」
- 街角で自分勝手に歌う・演奏する・躍る
このような状況を表現する場合には、それぞれ「会話をした」「演奏をした」など具体的な表現をし、「公演・講演」は使わないので使い方に注意しましょう。
「公演」の意味と用法
「公演」とは、「大勢の観客の前で演技や音楽などをする」という意味で、「大勢の観客の前で披露すること」がポイントです。
例文で分かりやすく説明します。
- 明日は待望の劇団が公演するそうだ
- 私はオーケストラの一員で、明日には公演が控えている
- 公演会場はこっちで合っているの?
- サーカス団の公演を子どもと見た
- 公演を延期するか中止するかで悩んでいる
- 友人と見に行く劇団の公演名を忘れた
- 来月には東京公演があるので見に行こう
- 舞踏会の公演は月1回開催されている
- 公演は大勢の人が来るので興行収入も期待できる
- 地方でも500人以上収容できる会場があれば公演は可能だ
このように「公演」とは、「大勢の観客に対して、芸術性のある演技や音楽を披露する」ことを表現するときに使います。
また、漢字を辞書で調べると以下のように記載されています。
(公:《音読み》こう、《訓読み》おおやけ)
①{名詞・形容詞}おおやけ(おほやけ)。みんなにうちあけ、みんなとともにすること。
②{形容詞}一部にかたよらないさま。「公平」「公正」
③{名詞・形容詞}個人のことでなく、官に関すること。また、個人のことでなく、官に関する。《対語》⇒私。「奉公」「公用」
(引用サイト:広辞苑無料検索 学研漢和大辞典)
(演:《音読み》えん、《訓読み》のべる、のびる)
①{動詞}のべる(のぶ)。のびる(のぶ)。引きのばす。口や、しぐさで展開させる。「演説」「講演」
②{動詞}前提や、今までわかったことをおし進めて、先のことを推量する。「演繹」「推演」
③(エンズ){動詞}理屈や脚本に基づいて、実際にやってみる。「演劇」
(引用サイト:広辞苑無料検索 学研漢和大辞典)
それぞれ漢字の意味を組み合わせると、「おおやけに、口やしぐさで展開させる(脚本に基づいて実際にやってみる)」となり、「公の場で役を演じる」と解釈できます。
このように漢字だけ見ても、「公演」の意味が分かります。
また、類義語には次の言葉があります。
演芸、上演、パフォーマンス、舞台、ステージ、演出、発表、実演、披露、演技、演奏など
類義語にもさまざまな言葉があるので、状況や表現したい内容に応じて類義語も使い、読者に分かりやすい文章を書きましょう。
「講演」の意味と用法
「講演」とは、「大勢の人前で、題目の内容について教える話をする」という意味です。
例文で分かりやすく具体的に説明します。
- 大学の教授が「人間工学」について講演してくれる
- 元WBC監督の栗山さんが野球について講演会を開催する
- IPS細胞について山本伸弥教授が講演する
- 私は小学校に招待されて、護身術について講演した経験がある
- 昔にスワヒリ語の講演を聞いたことがある
- 有名な画家の講演会はめずらしい
- 私が講演会に招待されるとは信じられない
- 以前、父親が講演した映像を見たことがある
- 卒業生代表として、卒業した高校に講演をしてほしいと依頼された
- 人形劇の仕組みについて全国で講演をすると大きな反響があった
このように「何かのお題について教える」ことが「講演」の意味です。
また、漢字の意味を調べると辞書には以下のように記載されています。
(講:《音読み》こう、《訓読み》こう
①{動詞}相手にわかるように書物の内容や道理・技術などをとく。
②{動詞}相手も納得するようにといて、はからう。また、適切な手をうつ。
③{動詞}《俗語》話す。
(引用サイト:広辞苑無料検索 学研漢和大辞典)
漢字の意味を組み合わせると「相手も納得するようにといて、はからう(話す)、脚本に基づいて実際にやってみる」となり、「相手が納得するように筋書き通り、実際に話す」と解釈できます。
また、類義語には次の言葉があります。
レクチャー、講じる、演説、講話、講義、談話、スピーチ、講習、論じあう、弁論、討論など
状況や表現したい内容に応じて適切な類義語も使い、理解しやすい文章を書くように心掛けましょう。
まとめ
この記事では、「公演」と「講演」の違いと使い分け方を解説してきました。
- 「公演」とは、大勢の人前で「演技や音楽などを演じる」こと
- 「講演」とは、大勢の人前で「相手が納得するようにお題の内容を話す」こと
ぜひ参考にしてください。